インターネット取引業者は狙われている。税務調査で指摘されないための方法
ECやネットショップであっても、事業を行う上で、避けて通れないのが税務調査です。
インターネットを活用して事業を展開している方々は、税務署に他の業種に比べて税に対する認識が甘いと思われているため、税務調査の対象となりやすいと考えてください。
本記事ではECサイトやネットショップ、オンライン通販を運営している方が、税務調査で指摘されないための方法をご紹介いたします。
税務調査の対象となるインターネット取引業者の特徴
税務調査で指摘されないために最も重要なのが、調査対象者とならないことです。
税務署が調査を実施する件数は限られており、すべての事業者が調査を受けることはありません。
一方で、税務調査を何度も受ける事業者も存在しますので、調査対象となりやすいインターネット取引業者の特徴をご確認ください。
申告内容の不備や提出書類に不足がある
税務調査は申告内容を確認するために行われることがあるため、適切に申告したとしても、税務調査を受けるケースはあります。
しかし申告書に必要事項を記載し、添付書類を揃えて提出していれば税務調査を受ける確率は下がりますし、調査を受けても不備が無ければ指摘されることはありません。
添付書類には法的に提出義務がある「法定添付書類」と、参考資料として任意で提出する「任意添付書類」の2種類あります。
法定添付書類を提出していなければ必ず指摘されますが、任意添付書類は申告書に添付しなくても法律上問題ありません。
ただ書類の添付が任意であっても、申告書を作成する際の根拠となった資料が何も添付されていない場合、税務署は税務調査によって申告内容を確認しようとします。
無用な税務調査のリスクを上げないためにも、申告書を作成した際に使用した資料は、必要に応じて添付した方がいいでしょう。
前年比で取引金額が増加している事業者は調査を受けやすい
所得税や法人税は利益に対して課される税金ですので、売上が伸びて利益が増えれば、納税額も増加します。
納税額を抑えるために節税手段を講じることは納税者心理として当然ですが、税務署は節税手段が法律の範囲内で実施されているかを確認します。
売上に対して利益が少なければ利益が少ない要因を調べますし、前年比で売上が伸びている事業者ほど売上除外や、経費の水増しがないかをチェックされますので要注意です。
また売上が前年と比べてあまり変化がなくても、納税額が減少していれば税務署はその原因を調べます。
売上除外や経費の水増しで赤字を装っている事業者もあるため、利益が発生していない状況でも、税務調査を受ける可能性はゼロにはなりません。
事業規模が小さくても調査対象となる
税務調査は大企業や、売上の大きい個人事業主をターゲットにして実施されるイメージがありますが、実際には規模の小さい事業者に対しても税務調査は行われます。
税務調査は役割担当があり、事業規模が大きい会社は国税局や税務署の特別調査官(通称:トッカン)が担当し、それ以外の事業者は税務署の部門が調査担当者となります。
ニュースや話題になっていないだけで、インターネット取引業者はもちろんのこと、仮想通貨取引等の話題になっている投資や事業には、積極的に税務調査は実施されていますので注意してください。
税務調査で指摘されないためにやるべきこと
国税庁が公表している「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」では、税務調査の主な取り組みの一つに、「インターネット取引を行っている個人に対する調査」が掲げられており、追徴税額は過去最高の65億円です。
伸び盛りの業界は税務調査の優先度が上がりますので、他業種よりも調査対策は入念に行う必要があります。
出典:令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf
税務調査対策は税務署の連絡があってからでは遅い
税務調査が実施される際、原則として税務署から調査を行う旨の連絡があります。
税務調査は提出した申告内容が正しいかをチェックするために行いますので、税務署が連絡する前に申告誤りを把握していれば、追徴課税を免れることはできません。
また税務調査を受けたときに申告漏れの事実を隠したり、調査時に虚偽の回答をすると重加算税の対象になるので危険です。
調査の連絡から実施するまでの間に行える対策は限られますので、税務調査で指摘されないためには、申告書を提出する前から対策する必要があります。
添付書類一つで調査対象者の有無が決まることもある
税務調査で指摘されないために最も有効な手段は、正しく申告書を作成し提出することです。
適切な申告書を作るためには帳簿管理は大切で、帳簿の内容が杜撰だと申告漏れや計算誤りの原因になります。
調査担当者が確認したい事項が帳簿だけで把握できれば、調査により拘束される時間は短くなりますし、指摘されることもありません。
逆に帳簿を作成していない事業者は、脱税の疑いや申告誤りの多い納税者のレッテルを貼られる可能性もあります。
税務署に要注意人物(法人)と認識された場合、次回行われる税務調査までの期間が短くなることも考えられますので、納税意識が高い事業者と思わせることも調査を回避するためのポイントです。
税務署への心証を良くするだけで税務調査は回避できる
国税組織の職員数は約5万6千人いるのに対し、令和2年分の所得税の申告件数だけでも2,249万件提出されていますので、調査対象となるのは一部の申告書のみです。
税務署は調査の効率化のために、追徴課税が見込める申告書を優先的に調査する傾向にありますので、適切に申告するだけでも調査を受ける確率は下がります。
またインターネット取引業者は、一般の業種よりも物的証拠を意識的に残すようにしてください。
物的証拠が無くても認められるケースもありますが、口頭での説明は信用力が乏しく、調査担当者は証拠として採用しない可能性が高いです。
税務署から物的証拠を求められた際、すぐに書類を提示できれば、税務調査で指摘される確率も下がりますので書類は捨てずに保管しましょう。
税務調査の連絡は突然かかってくる
税務調査を実施する連絡は事前にありますが、税務調査が行われるかはタイミングを外部から把握することはできません。
本記事でご説明した要点を押さえておけば、税務調査を受ける確率は下がりえるので、税務調査で指摘される可能性も当然ながら低くなります。
日頃から帳簿整理や証拠の保全を行い、税務調査を受けることになった場合は、領収書などの物的証拠を提示できる体制を整えてください。
今まで1度も税務調査を受けていなかった人でも、明日調査の連絡が来ても不思議ではありませんので、いつ調査があっても対応できる準備はしておきましょう。
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